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若桑みどり先生

ネットで西洋美術の情報を検索していたが、ある衝撃的な記事が目に入った。「今日10月5日は若桑みどろ先生のお通夜の日...亡くなられたのは10月3日」。先週先生の本をAmazonnで購入したばかりなのに...悲しいことです。
若桑先生のことを知ったのは、2年ほど前に西洋美術に興味を持ち始めたごろ『イメージを読む------美術史入門』(筑摩書房1993年)を買ったのがきっかけでした。先生の豊富な知識と特独の解釈に魅了され、その後『絵画を読む―イコノロジー入門』、『薔薇のイコノロジー』、『マニエリスム芸術論』なども拝読しました。先生が専門的な研究をなさいながら、教育の最前線で西洋美術の啓蒙教育やイコノロジーを日本に紹介することなどに力を注ぐことを深く尊敬しています。人間は誰でも死ぬものですが、これだけの知的財産と影響力を世に残るのはとても尊敬すべくだと思います。ご冥福を祈りたいと思います。

偶然に先生が千葉大学教授に務めた時の教育目標を見つけました。ここに掲載します。
若桑みどり教授 / 私の教育目標は、第一に、学生が自分を取り巻く文化的環境について知識と批判力をもつことです。文化に無自覚でいることは受動的なまま生涯を送ることです。私は文化創造において女性に積極的に参加してほしいと思っています。したがって目標の第二は、文化創造者としての女性をつくることです。テレビ局や広告業界でのクリエーター、美術館の学芸員など創造の現場で働く、イメージの歴史や創作法を知り、その上ジェンダーを知っている女性を養成したいと思っています。すべての女性に私たちをとりまく文化的環境を女性にとって快適なものに改善する英知をもってほしいと思っています。また私の専門はアカデミックな意味では美術史の研究者ですから、就職の道に行く学生ばかりでなく、大学院に進んで、ジェンダー美術史の研究者になる学生が育ってくれたら嬉しいと思っています。

・若桑みどり・(1935-2007)
東京生まれ。東京芸大卒業後、イタリア留学を経て東京芸大教授、千葉大教授、川村学園女子大教授を歴任。イコノロジー(図像解釈学)という方法論を、日本のアカデミズムで定着させた功績は大きい。イタリア美術史が専門で、美術における女性の位置についてのジェンダー研究や発言も多く、ジェンダー文化研究所を主宰している。
80年に「寓意(ぐうい)と象徴の女性像」でサントリー学芸賞、「薔薇(ばら)のイコノロジー」で84年度芸術選奨文部大臣賞、03年に紫綬褒章。04年には「クアトロ・ラガッツィ――天正少年使節と世界帝国」で大佛次郎賞を受賞している。
・著書・
『マニエリスム芸術論』 ちくま学芸文庫
『薔薇のイコノロジー』 青土社
『寓意と象徴の女性像』 集英社
『イメージを読む』 筑摩書房
『絵画を読む』 NHK出版
『光彩の絵画』 哲学書房
『フィレンツェ』 文春文庫
『戦争がつくる女性像』 ちくま学芸文庫 
『隠された視線』 岩波書店
『象徴としての女性像』 筑摩書房
『皇后の肖像』 筑摩書房
『クアトロ・ラガッツィ―天正少年使節と世界帝国』 集英社
など

by jun_yu | 2007-10-05 22:24 | *読万巻書  

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